It's my job.
「おい、この便の責任者は誰だよ?」
先日のフライト中、突然、ある男性のお客様がものすごい剣幕で後方からつかつかと前方ギャレーまで怒鳴り込んできた。ちょうど、ホノルルに到着する2時間くらい前で、2食目のサービスの準備でバタバタしているときだった。私は何のことかわからず、唖然、一瞬恐怖。が、覚悟してひとまず事情を聞くと、①さっきベルト着用サインが点灯しているときに、呼び出しボタンを押したが、誰もこない、②トイレに行きたくて立ち歩いたらCAに席に戻れと注意された、後でCAに文句を言うと「ベルトサインが点いている間は、仕方ないんです。」とそっけない答え、謝るのが先じゃないのか、③ちゃんとした説明もないまま座席に1時間も縛り付けられて快適な空の旅もあったもんじゃない、俺は客だぞ。…というようなことを他のお客様に丸聞こえの大声で怒鳴り続けていた。
この日は、天候が不安定で、飛行中、ずっと揺れが続いていて、サービス中、ベルト着用サインが1時間程点灯したままの状態だった。私の会社では、ベルトサインが点いているときは、CAも着席していなければならず、身動きがとれない。お客様がトイレに行きたい場合は、まず機長に連絡をとって、許可を得なければならないようになっている。ダメだと言われたら待ってもらうしかない。この時期に、例えば、お客様が具合が悪くなって本当に緊急で呼び出しボタンを押していたらどうするんだというような問題はいつもついてまわるのだけど、安全の面から、「ベルトサイン点灯時は必ず着席」と決められている以上、従わない訳にはいかない。
話を戻してさきほどの男性のその後。しつこいくらいのお詫びとおだて?を繰り返しているうちに、怒りも徐々に収まり、いい気分になったのか上機嫌で冗談も飛び出し、そのまま会話は彼の自慢話へと続いていった。それにしても、人間の怒っている顔が、クールダウンして一転、上機嫌になっていく過程を間近で見ていて、「顔の表情が変わる」というのはこういうことなんだなぁと妙に感心してしまった。一瞬にして声のトーンや大きさまで変わっていったので面白かった。そして降機されるときには、すっかり表情も穏やかになり、笑顔だったので救われた。クレームに対して、「逃げずに謝り倒し、気がすむまで発言をしてもらい、いい気分になってもらう」というこの何年かでなんとなく身につけた業が役にたってくれた。冷や冷やしたけれど、この件は機内クローズ。やれやれ、やっぱりフライトは日々色んなことがあるなぁ…。見かけによらず小心者の私は、今回もいつものおまじない、「It's my job, It's my job」をココロの中で呪文のように唱えてどうにかフライトを無難に終えた。It's my job, しかし、何年経っても慣れないクレーム対応。変な汗がいっぱいでてまいった。
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コメント
babieeさん、こんばんは。
お疲れ様でした。
その男性客をおだて?ているbabieeさんの表情見てみたいです。しかし、責任者って大変ですね。
投稿: カズ | 2007/02/22 01:34
カズさん、こんばんは。
決して、いつも100%の対応ができている訳ではないのですが、
やはり、事が大きくならないように、必死に対応する自分の姿は、
後から思うと自分でも愛しくなってしまいます。
いつまで経っても慣れない感覚です。
投稿: babiee | 2007/02/25 21:18
このフレーズ
ぜひ使わせていただきたいとおもいます!
バビーさんの仕事に対する姿勢が好きですね~
投稿: ヤギユキ | 2007/02/27 03:15
ヤギユキさん、こんばんは。
ほんとに、自分を奮い立たせる呪文がないと、このシゴト
私には勤まりません。よくピッチャーが「平常心、平常心」って
言い聞かせるのと同じなんですかね。
投稿: babiee | 2007/03/01 00:59